ITコラム

 出張でノートパソコンを持ち歩く人が多くなりましたが、盗難や紛失によって個人情報やお客様の情報が漏洩することがあります。出張での会食後、電車で寝ていてノートパソコンが入ったバックを車内に忘れて紛失した、という事例があります。最近は、情報セキュリテイに厳しくなっていますので、持ち出しパソコンを制限したり、暗号化などをしていると思います。それでも、いざ紛失した場合は、その情報が悪用されないとは限りません。
 今回は、そうした情報漏洩を防ぐためにも「シンクライアント(Thin client)」を紹介します。
 シンクライアントは、セキュアクライアントと呼ばれることもありますが、その概念は10年以上前に生まれたものです(当時はNCと呼ばれました)。シン(Thin)とは「薄い」という意味ですが、ネットワーク経由でサーバに接続するための最少構成のパソコンのことで、そのため薄く軽くなっています。また、ハードデイスクを持たないため情報が保存されることがないので、紛失しても情報漏洩になることはありません(もちろん、パスワードや認証キーなどをきちんと管理している場合に限ります)。
 また、近年増え続ける、事務所のパソコンの電源、ソフトウエア管理やセキュリテイについてお悩みの情報管理者の方にもお勧めです。
 シンクライアントにはいくつかのシステム形態があります。

(1)ポイント・ポイント型

 普段使っているデスクトップパソコンに接続する形態です。 導入が容易なのが特徴です。

(2)ポイント・ブレード型

 シンクライアントがあれば机の上にデスクトップパソコンを置く必要はありません。これをブレードサーバと呼ばれるサーバに集約してしまえば場所もとらず、電力などの省エネにもなりますし、管理も容易になります。
 ブレードサーバとは、CPUやハードディスク、インターフェースを一枚の薄い細長いボードにして刀(ブレード)のように一台のラックに複数を差し込んだもので、電源や設備を一元的に管理できるものです。

(3)センター型

 ポイント・ブレード型は、ラックは一台でもCPUやハードディスクは複数あり、ポイント・ポイント型を一つにまとめたものと言えます。これでは使用するソフトウェアがバラバラになったり、使用効率悪化の原因にもなります。
 そこで、さらに一台の高性能サーバを仮想化することで、あたかも複数のサーバとして利用するのがセンター型です。これによって省エネはもちろん、ソフトウェアやセキュリティの統一なども可能になります。
 詳しくは、「日立のシンクライアント セキュアクライアントソリューション」というWebページに、システム構成やシンクライアント事例が紹介されていますので興味のある方はご参照ください。

 私は今、真っ赤なシンクライアントを使って、このコラムを書きながら次のようなことを思い浮かべています。
 ・・・そういえば昔、UNI X全盛期にX端末があったけどシンクライアントだよなあ。
 ・・・まてよ、その前はダム端末でTSS( Ti me Shari ng Syst em)だったなあ、まさしくセンター型だよね。これってクラウドコンピューティングの原型なんだ!
 ・・・ということは、その後またCSS(クライアントサーバ)になって、また分散型が繰り返される?


(2009年4月 vol.333)

 
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