菊地合板木工株式会社
 

 冬が終わり春を迎えた。この冬は、何度「きりたんぽ鍋」が食卓に登場しただろうか。この、秋田県民に愛される郷土食の主役、「きりたんぽ」を製造する有限会社斎藤昭一商店の代表取締役社長斎藤秀光氏にお話を伺った。

菊地合板木工株式会社

 秋田の味を商売に

秋田ステーションデパート「トピコ店」

 有限会社斎藤昭一商店は、現在の会長、斎藤昭一氏が昭和34年に土産品の小売から創業。秋田ステーションビル内の店舗で小売を続ける一方、じゅんさいの加工などを経て、昭和49年から「きりたんぽ」の製造を本格的に開始。生産ラインの機械化を進め、一早く量産体制を確立した。現在は、「きりたんぽ」、「だまこもち」を製造・販売するほか、贈答用詰め合わせセット、オリジナルの「比内地鶏スープ」、各種特産品の販売も手掛け、県内外のスーパーや百貨店など向けに卸販売するほか、3店の直営店とインターネットサイトで直販している。

 

 

 「きりたんぽ鍋」はマニアック

 軽く潰したご飯を、細い棒に握り付け焼いた「きりたんぽ」。セリなどの野菜や舞茸などのキノコと一緒に、鶏ダシのスープで鍋にして食べるのが定番の、秋田の郷土食だ。ごく少量の塩以外は、米のみで作られるだけに、原料が絶対的に重要になる。同社では、美郷町産あきたこまちなど一等米のみを原料とし、素材である秋田の米の美味しさを最大限生かした「きりたんぽ」づくりを目指している。
 斎藤社長曰く、「きりたんぽ鍋はマニアックな食べ物」。 「セリや比内地鶏ダシの醤油スープなども、全国の、きりたんぽ鍋を知らない方にとっては珍しい材料です。きりたんぽの程よい煮加減も、初心者にはアドバイスが必要だと思います。珍しい料理だから、難しいから、という理由で美味しく味わうことができない方がいるのは非常にもったいない。私たちは、食べやすいよう工夫して、初めて食べる方にこそ、本当に美味しい秋田のきりたんぽ鍋を食べていただきたい」。
 そのため、同社は、水で薄めるだけで本格のきりたんぽ鍋の味を作ることができる、「比内地鶏スープ」を開発。手軽に、失敗することなく、きりたんぽ鍋の味付けができることから、この商品が大きな売り上げを上げているそうだ。

 リピーターをじわじわ増やす

 斎藤社長は、平成12年に同社を継いで以来、販路開拓に力を注いできた。地道な営業活動で県外へも販路を開拓し、現在は、販売の約半分が県外だという。しかし、味、量、見た目、トレンドなど、消費者の複雑で多様なニーズに対応することは簡単ではなく、特に、「きりたんぽ」は秋冬に需要が偏っているため、年間を通して大きな取引を維持することは難しいのだそうだ。
 そんな中、同社は、これまでの営業活動に加え、個人のリピーターを重視した取組を強化している。個人や初めての客が利用しやすいネットショップの運営、定期的なダイレクトメール、お客様相談センターの設置など、じわじわとファンの輪が広がるよう取り組んでいるところだ。
 また、同社は、ブランディングにも取り組んできた。すべての商品のパッケージを“さいとうブランド”のロゴの入った統一感あるデザインにし、美しいパンフレットやホームページも充実させたほか、材料も製法もとことんこだわって差別化を図った贅沢なきりたんぽを新しく、「杵一」ブランドとして立ち上げた。

 加工で、産地と消費者を結ぶ

 「秋田の美しい田園風景を守りたい。素直にそう思います。日本人ひとりひとりが、もう少し、米・ごはんを食べるようになれば、産地(秋田)が元気になれます。秋田の特産品を扱う企業として、すばらしい素材を、消費者に喜ばれる形に加工することが使命だと思っています。変わったことをしてきたわけじゃない。私たちは、これからも、守るべき味を伝承し続けながら、企業、そして商品を進化させ続けたいと考えています」。

 

 

CORPORATION DATA

有限会社斎藤昭一商店有限会社斎藤昭一商店
〒010-0038 秋田市楢山城南新町34-13
TEL.018-835-3673 FAX.018-835-3607
URL http://www.kiritanpo.com
Eメール info@kiritanpo.com


(2009年4月 vol.333)

 
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