官民の連携が功を奏し、短期間で取扱量が急成長 秋田港国際コンテナ定期航路 |
秋田港国際化荷主協議会(秋田県) |
秋田港の国際コンテナ定期航路は、平成7年11月1日に釜山−秋田間週1便体制で運行を開始した。運行当初のコンテナ取扱高は、20フィートコンテナ換算で月間60本にすぎなかった。しかしその後関係者の努力が実を結び、平成9年2月1,069本、3月1,039本と、事業開始からわずか1年4ヶ月で取扱高が月間1,000本を超えるまでになった。東北で、1,000本を超える港は、仙台港と秋田港のみで、コンテナ船が週2便体制で運航されているのは秋田港だけである。
県流通貿易対策室は、折りからの円高による輸入拡大、全国各地のコンテナ港設置等の動きを受けて、平成7年2月から県内外の貿易貨物についてニーズ調査を実施した。その結果、ニーズを持った企業が、運航の採算ラインに見合うくらい存在することがわかり、確かな手応えをつかんだ。また、韓国の海運会社との接触でも前向きな感触を得た。そこで同対策室は、一気に航路開設の気運を盛り上げるため、民間各社に呼びかけ、同年6月に「秋田港国際化荷主協議会」を設立した。同協議会は、県内外のニーズ掘り起こしや秋田港利用のPRを担当し、県と一体となって航路開設に取り組んできた。これらのソフト面の運動と連動して、県港湾課はコンテナヤードの敷設やコンテナクレーンの設置など、ハード面のインフラ整備を相次いでおこなった。 この様な官民あげた運動が実り、平成7年11月に日韓定期航路開設の運びとなったのである。
![]() コンテナ船
秋田港を利用する最大のメリットは、物流コストの削減である。東京港や横浜港等に荷揚げした場合と比較すれば、秋田までの陸送運賃や倉庫の保管料等の諸経費が大幅に削減される。また、横浜港などはコンテナ船が混み合い、荷揚げまでの日数を要していたが、秋田港の場合は短期間で済むことから、輸送時間の面でもメリットが大きい。 このようなことが広く知られるに従って取扱高も順調に推移し、昨年の10月からは週2便の運航体制となり、荷主の利便性が更に向上した。また、本年1月には動物検疫港として指定を受けたのに続いて、3月にコンテナ用燻蒸施設が完成し、様々な業種でコンテナ船を利用できる環境が整った。 この様にハード、ソフトの両面でインフラが整備されるにつれて、県内経済に対して“コンテナ効果”が生まれてきた。 集成管柱等を主力製品としている(株)宮盛は、それまで利用していた横浜港等から秋田港へ変更して物流コストを削減し、価格競争力の向上につなげた。同社の佐々木常務は「秋田港に変更した結果、輸入コストは50%強ダウンすることが出来た。また週2便体制で、原材料も安定的に入るようになり、工場の生産性アップにもつながった」と語る。また、海運業界・県内トップの秋田海陸運送(株)は、就航をビジネスチャンスの増大と捉え、積極的な営業展開をしている。同社の鎌田営業部長は「永年の業務で培ってきたノウハウをベースに、貿易の総合コンサルタントとしてお客様をお手伝いしている。県内はもちろん、隣県にも新しいお取引先が広がっている」と語る。 国際コンテナ定期航路は、就航からわずか1年数ヶ月で週3便体制の可能性も見えてきた。深野弘行県商工労働部長は、短期間でこれまでになった要因を「確かに行政サイドは、インフラ整備に対して、それなりにシーズ・マネーを投入しました。しかし行政と民間が高いレベルの問題意識を共有し、色々な業種の人たちが知恵を出し合ったことが、短期間でここまでこれた一番の原動力ではないでしょうか」と分析している。 |