ISO14001の認証取得 県内第1号 |
秋田プレシジョン株式会社(大曲市) |
最近、新聞や雑誌等でよく「ISO」という横文字を目にする。「ISO」とは、International Organization for Standardizationの略で、日本語に訳せば「国際標準化機構」を意味する。 「国際標準化機構(以下ISO)」は任意団体で、世界の主要国がさまざまな規格を統一するために作った組織である。ISOの規格に法的強制力はないが、事実上の統一規格となっており、日本工業規格(JIS)も極力ISOにあわせるようになってきている。 ISOの規格の中では、「品質管理」および「品質保証」を制定したISO9000シリーズが一般的である。92年のEC市場統合を機に、欧州諸国では輸入品に対してISO9000の認証取得を求める傾向が強まっており、国内の製造業者は輸出対策の一環として取得する企業が年々増加している。 このISO9000に加えて、最近注目されているのがISO14000シリーズである。ISO14000シリーズとは、地球規模の環境保全意識の高まりを背景に、ISOが平成8年9月に制定した「環境マネジメントシステム」と「環境監査」に関する国際規格である。この規格もISO9000シリーズと同じく輸出の際の条件とされる可能性が高く、大企業を中心に取り組みが始まったが、最近では中小企業でも積極的な動きが見られる。この背景には、企業間取り引きの条件として、環境対策が徹底している企業の製品を優先して購入する“グリーン調達”の高まりがある。
県内で、このISO14001の認証をいち早く取得したのが、秋田プレシジョン(株)(電話:0187‐68‐3131)である。同社は、セイコーインスツルメンツのグループ企業として昭和60年に設立され、時計用ムーブメント、プラスチック部品、半導体パッケージなどを製造している。 同グループは平成5年に環境保全行動計画・『グリーンプラン』を策定し、特定フロン・塩素系有機溶剤の全廃、省エネ、廃棄物の減量化などに取り組んでおり、今回の認証取得はこの延長線上にある。 同社は平成8年2月に取り組みを開始し、本年4月に認証を取得した。1年2ヶ月という短期間で取得出来た理由として、既に平成5年ISO9002を取得し“マネジメントシステム【Plan(計画)、Do(実行)、Check(チェック)、Action(是正)という一連の管理サークル】”が社内に確立されていたことがあげられる。“品質管理”と“環境管理”。両者の目的こそ異なれ、ISOの規格は、企業に対して継続的な「管理システム」の向上やシステムの「文書化」を求めている。ISO9002の取得で培われた管理システム構築等のノウハウが、ISO14001の取得に即応用が効いたことになる。 同社の高沢品質保証課長は、「ISO14001の認証を取ったことで、会社の対外的イメージが良くなったことが最大の収穫ではないでしょうか。また、従業員も自分の会社に誇りを持ってくれました」と語っている。
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企業のこの様な取り組みを支援するため、行政サイドでも色々な制度を設けている。 中小企業事業団は、無料で専門家による情報提供やアドバイスを行っているほか、7月18日には秋田市文化会館で講習会も開催する。 また、秋田県商工労働部工業振興課は、「品質管理技術者育成事業」を通じて「内部監査員」、「審査員」等の養成に要する費用の一部を助成している。同課では、「今年度の予算枠は埋まってしまいましたが、来年度もこの事業を継続する計画ですから、積極的に利用して欲しい」と語っている。 |