「データ資産の活用」をテーマにパッケージソフトを開発
―システムポート(株)(本荘市)―

 バブル経済崩壊後苦境に立つソフトウェアハウスが多い中にあって、ワープロ文書等のデータを変換するパッケージソフト(市販ソフト)を開発・販売し、順調に業績を伸ばしているのが、本荘市のシステムポート(株)だ(本荘市美倉町13番地1 TEL 0184-24-5592 FAX0184-24-5558 資本金:1千万円 代表取締役 渡辺芳紀氏)。一般企業や公共企業体からの委託開発を手掛けるソフトウェアハウス(コンピュータのソフトウェアを開発する会社)が多い中、当社は全国のビジネスユーザーを対象にする小粒でピリリと辛い会社だ。
 同社は昭和62年に創業し、パソコンLANシステムやデータ変換用ソフト、OS言語関連ソフト、プリンタユーティリティ、セキュリティユーティリティ等を開発・販売しているが、創業当初から「データ資産の活用」をテーマに掲げてきたのが、データ変換ソフトの開発である。
 パソコン用ワープロの場合、文書を作成するワープロソフトが異なると、折角作った文書が他のワープロで使用できない場合が多い。そこで、異なったワープロで作った文書でも、画面イメージのまま使えるようにするのが、当社のコンバートソフトだ。まさに隙間商品だが、複数のワープロソフトや印刷会社等から高い支持を得て、これまでに数万本を出荷。現在では15名の社員で年商4億3千万円を上げる企業に成長している。
 平成4年に販売を開始した文書イメージ変換ソフト「コンバートスター」は、今ではパソコン用ワープロソフト一太郎やWord97に対応したVer8シリーズを発売するまでに成長し、しっかりと固定客を掴んでいる。

 パッケージソフトを開発するには、最新の情報技術と、ユーザーのニーズを掴んだオリジナリティーのある企画力、クレームが起こらない品質管理、それと営業力の4つが満足しないと売れない商品だ。開発には膨大な時間と経費を必要とし、受託ソフトとは異なり大きなリスクを背負わなければならない。
 現在国内には、ワープロデータの変換ソフトを手掛ける企業は3社あるが、当社の占めるシェアはおおよそ30%。しかし、市場の拡大に伴って他社の参入が予想されることや、新しいコンピュータOS(オペレーションソフト)やワープロソフトが相次いで発売され、技術進歩のスピードに追い付いて行くのが大変な業界である。
 現在、渡辺社長が営業を、社長婦人の渡辺奈里子専務取締役がシステム開発を担当し、両輪となって経営を進めているが、今後も、当社の変換技術を核に、事務の効率化の分野で新商品を開発していきたいとし、特に社員教育とマーケティングに力を入れている。
 「営業や商品テストでは多少不便を感じるものの、インターネット等の普及によって、システム開発のための情報は中央と格差なく収集できる」と渡辺社長。県内においても、当社の様に全国をターゲットに活動するソフトウェアハウスの出現を期待したい。

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