
このコーナーは、中小企業の景況が低迷する中で、新分野進出、新商品開発、ネットワークの活用などによって、積極的な経営展開を図り市場から評価を得ている企業を紹介します。
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有限会社ファーストカスタム |
メディカルモール仲小路 |
ダイキョー精機株式会社 |
可搬式手指消毒・手洗い装置
ヘルパーキットを開発
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有限会社ファーストカスタム
平鹿郡平鹿町樽見内字古館154-2
TEL0182-24-3307
代表取締役 佐藤 和秋 |
平鹿町でキャンピングカー等を受注生産している(有)ファーストカスタムが、このほど介護用商品「ヘルパーキット」を開発して注目を集めている。これは、消毒用の手洗い装置や、汚物を収納するダストボックス等を備えた移動式の介護用ワゴン。
介護サービスのポイントは衛生管理に気を配り、清潔感のあるサービスを行うこと。そこで、介護者の手洗い消毒や汚物処理には十分に気を配らなくてはならない。しかしこれまでは、介護者がその都度洗面所に行ったり、あらかじめ洗面器等の容器に消毒水を準備して作業をしていた。そのため、深夜などは手洗いの大きな音で家族に迷惑をかけてしまったり、汚物の処理で回りの人に嫌な思いをさせてしまうことも多かった。
今回開発したヘルパーキットは、巡回サービス等に使用する軽ワン・ボックス・カーに簡単に積み下ろしができるようにした。また、内部に消毒水等のタンクを収納して、温水で手が洗えるようにした。(平成11年10月 実用新案登録済)佐藤社長は、「今後は色々な方からお知恵をお借りして価格を下げ、一般の家庭でも購入できる商品にしたい」としている。今年度同社は同商品の開発で、秋田県の中小創造法の認定を受けた。佐藤社長は、同法を有効に活用してヘルパーキットの更なる機能アップを図りたいとしている。

患者さん本位の医療実現をサポート
県内初「医療事務受託法人」
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株式会社メディカルサービス・K
秋田市中通1-3-46
TEL018-884-7511
代表取締役 中村 健一 |
昨年11月、空洞化が進む秋田市中央街区に県内初の診療所集合体ビル「メディカルモール仲小路」がオープンした。最終的に7診療所の入居が可能。現在は「松岡内科クリニック」のみの入居だが、本年4月には「脳神経・メンタルクリニック」の入居も決定するなど、医師の注目度も高い施設である。
当社は本モール内において直接診療業務以外の「受付・会計・診療報酬請求・給与計算等労務管理・共有ロビー管理・電子カルテシステムの提供」など、これまで医師の手を煩わせていた雑務を一元的に受託。これらから医師を開放、良質な医療サービス提供に専念できることを可能にした。
また、患者さんの「こんな医院があったら」という声に応えるため、原則、再来診療の予約制を採用、患者さんの診療待ち時間の大幅短縮と医師と会話のできる診療時間の創出を実現。加えて総合受付設置により、受付から会計までの流れをわかりやすくし、利便性を高めた。その他にも「院外処方せんの希望薬局へのFAX送信サービス」、「コート・傘等を預かるクロークサービス」、「受話器をあげるだけで無料で直接タクシー会社につながる電話機設置サービス」など「すべて患者さんの視点・立場に立つ」をコンセプトにした、きめ細やかな配慮によりサポートがなされている。
今後も全国でも珍しい「会員制検診クラブ」の拡充等、医師、患者双方に役立つサービスの充実をはかっていくとのこと。新しいサービス業の形態として注目される当社である。

利益は夜作られる
“新人類”が時代をリードする
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ダイキョー精機株式会社
由利郡金浦町金浦字葡萄森41-1
TEL 0184-38-2202
取締役社長 渡部 幸悦 |
ダイキョー精機は、昭和28年、社長の祖父と父(現会長 渡部秀男氏)が漁船のエンジン修理から興した従業員12名の小さな機械加工工場である。
当社は角物・板物の加工に特化し、丸物を一切手掛けない。その理由は、「百貨店が衰退すると同じで、(機械加工屋も)何でも屋はダメになる」からだと言う。当社でも成長過程で、治工具→部品組立て→ライン設備と展開してきたが、機械が完成し、一巡すると修理程度の仕事量に落込むというサイクルに呑み込まれ苦労して来た。その経験が、角物・板物専門に向かわせたのだ。見かけの売上げ金額は小さいが、この方が利益率は高いのである。
積極的な設備投資もこれを可能にした。パレット式マシニングセンタは夜間も無人で動いている。「利益の多くは夜作られる」のだと言う。
また、渡部社長は得意のパソコンで自社のホムページを作成し、インターネットを通じ情報発信や受注活動を積極的に行っている。実績はまだだが手応えは十分あると言う。これは中小企業でさえ、地域的な枠組みを超えた企業活動が既に現実となりつつある象徴的な例であろう。
「私はいわゆる“新人類”と呼ばれた世代」、その人達が今、高度情報化や技術革新を通じて社会の変革を担っている。その世代だからこそ出来るのだという強い自負と自信がみなぎっている。その一方で、人と人との繋がりを基本に、営業+技術+加工能力のバランスが経営の要と言うあたりは、「地に足のついた経営」を実践してきた会長の手堅さもしっかり受け継いでいる。
今後の動きが気になる企業である。

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