このコーナーは、中小企業の景況が低迷する中で、新分野進出、新商品開発、ネットワークの活用などによって、積極的な経営展開を図り市場から評価を得ている企業を紹介します。

佐金酒店 (有)ササキパーツ オータカランバー(株)


全国の地酒情報を積極的に発信
「無礼講」はお客様へのラブレター


佐金酒店
北秋田郡鷹巣町東横町12-1
店主 佐藤 史郎

 酒類ディスカウントストアやコンビニエンスストアが台頭し、一般酒販店が激減している酒販店業界。業界再編が進む中で、全国の地酒(清酒)情報を積極的に提供する「地酒にこだわる店づくり」を進めているのが鷹巣町の佐金酒店だ(TEL0120-548-312)。
 当店では平成7年から、地酒にまつわるエピソードや四季折々の新酒の紹介、お客様の酒に関するエッセイなどを盛り込んだ地酒情報紙「無礼講」を発行。店主の佐藤さんは、「無礼講はお客様へのラブレターですよ」として600部を年数回発行し、県内外の顧客を確保している。
 また、ホームページ(http://www.kumagera.ne.jp/sakin/index.html)を自作したり、全国の地酒約20銘柄を揃えた「吟醸新酒を楽しむ会」なども開催。佐藤さんが自分の舌で確認した全国の地酒約250種を蔵元から直接仕入れるために、低温冷蔵庫も完備している。
 「『秋田の人は秋田の酒しか飲まない』なんてことはない」として、これからも全国各地の美酒を積極的に紹介していく方針だ。
 秋田県が実施した商業統計調査によれば、平成6年に1845店あった県内の酒小売店数は9年には1656店と3年間で約10%も減少した。そんな中、佐金酒店の経営は酒販店の新たな生き方を示している。


同じ製品でも同じじゃない!
色あせることのない付加価値は“信用”


有限会社 ササキパーツ
由利郡象潟町字大塩越113
代表 佐々木忠二郎

 自動車・家電製品などの電気回路と部品をつなぐ電線の束線部品(ワイヤーハーネス)を製造している(有)ササキパーツ(TEL0184-43-4428)。
 工場の外観も目立たなく、製品自体も決して最先端とは言い難い。しかしながら実はこの会社、不況の中にあっても、めっぽう元気なのである。
 佐々木代表が脱サラで始めた昭和56年当時、県内の弱電関連企業で使用する束線部品はほとんど東京で調達していたが、「自分で作る」と会社を設立。当初の3年間は赤字が続いたが、テレビ・ビデオ・オーディオ等の家電製品の急激な普及が受注を後押し、幾多の難関を乗り越えつつ、経営は軌道にのった。
 製品の品質は、他社のそれと大きな違いはない。当社の強みは設備内容と自前の材料調達、そして豊富な製品知識。しかも、当社の提供する製品には発注する側の利益となる“情報”という付加価値が付いている。
 「経営者が専門知識を持ち、本人が動き、そして相手を納得させる。」これが信用と人脈を築き、仕事の確保につながる、と社長は言う。
 時代は変わり価値観が変化しても、物づくりにとって変わらないもの、それはやはり“信用”なのである。


自宅に居ながら森林浴
内装材にフィトンチッドを活用


オータカランバー株式会社
能代市落合字下大野17
代表取締役 大高多一

 森林浴にはストレスをやわらげて、身も心もリフレッシュさせる爽快感がある。この森林浴効果をもたらす森林の香りの正体が「フィトンチッド」。樹木が自ら作り出して大気中に発散する揮発性物質で、人体には有益だが、病害虫など樹木の生長阻害要因を寄せ付けない作用がある。
 能代市の製材業オータカランバー(株)(TEL0185-52-3354)は、森林が持つこの不思議な力に着目、住宅建築の内装材に取り込もうと十年前から研究を重ね、昨年八月に「森林浴天井板」を商品化、本格的な生産を開始した。同天井板は、台板に表面化粧材を張り合わせる際に、フィトンチッドを含んだヒノキ、ヒバ、スギなどの「樹木林」を特殊な方法で注入する。自宅に居ながら森林浴気分に浸れる上、消臭、抗菌、防虫などにも効果がある。大手ハウスメーカーとの契約も成立するなど、首都圏を中心に同天井板の評判は上々だ。
 また、これを押入れに応用した「森林浴押入れ用合板」をこのほど開発。森林浴シリーズとして、天井板とともにPRに力を入れているが、単なる脱ホルマリンの健康住宅と違い、森林の神秘的で不思議な力を取り入れたこの商品も多くの関心を集めている。
 「時代に即応し木材加工技術の最先端企業を目指し邁進すること」が経営理念と話す大高社長。当社は技術力にさらに磨きをかけ、高付加価値化を軸とした住宅内装部材総合メーカーへと脱皮を図っていく方針だ。

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