このコーナーは、中小企業の景況が低迷する中で、新分野進出、新商品開発、ネットワークの活用などによって、積極的な経営展開を図り市場から評価を得ている企業を紹介します。

(有)太成食品 松岡食品 (有)フルヤモールド


高品質でニーズにもマッチ!
海草繊維入りリンゴジュース開発


有限会社太成食品
平鹿郡平鹿町醍醐字三島50
代表取締役 齋藤 太一

 昨年10月に「東北インテリジェントコスモス構想」に基づく研究機関が発見した「U−フコイダン」を利用し、新商品を開発したのが(有)太成食品(TEL0182−25−4922)。
 「U−フコイダン」とは、コンブから抽出される海草食物繊維で、その作用としては「ガン細胞死滅」、「血中コレステロール低下」等の効果が確認されている。
 「平成5年から、リンゴの産地・平鹿のプライドをかけて、平鹿町産リンゴのみを使用した、果汁100%のジュースを作りつづけてきた」齋藤さんの姿勢と味に共感した、インテリジェントコスモス機構の職員から話を持ち掛けられ、商品化のはこびとなったのだという。商品名は「バイアッケル」(120ミリリットル、200円)。バイオテクノロジーとアップル(リンゴ)、ケルプ(コンブ)を組み合わせた。
 「U−フコイダン」を利用した日本で初のジュースということで、発売当初から注目度は高く、発売から7ヵ月を経過した今も全国から注文が舞い込み、売上は好調。当社年間生産量の約1割を占める商品に成長している。
 「しっかりと本物を追求し、顧客ニーズにマッチさせれば、秋田にいても全国を相手にした商売ができる」。自信を深めた齋藤さんは、本商品の生産量の拡大とともに、引き続き「健康」をコンセプトにした新商品の開発にも取組んでいく方針だという。


孫の試食がヒント!
県産大豆が主役のヒット商品


松岡食品
山本郡八森町字古屋敷43-3
代表 松岡 清悦

 豆腐の製造過程で必然的に発生するおからを材料にしたドーナツは県内では数店で販売しているが、グリーン豆腐など究極の美味を追求して創業47年になる八森町の松岡食品(TEL0185-77-2024)の「おからドーナツ」が、かくれた人気を呼んでいる。
 2月に開催された全国豆腐フェアに代表の松岡さん、息子の清也さん、孫の清平くんの3人で出かけたところ、おから製品のコーナーにドーナツの出展があり、清平くんがその試食品を何度も食べていたことがきっかけ。大人2人は興味がなかったが、口にしてみたところ「おからっぽさが感じられず。」に食べることが出来たことから、おからを活用してみようと帰町後早速、ドーナツ製造機の販売代理店と連絡を取り、導入を決めた。また、投資が少なく、味のノウハウが既にできていたことも一因。
 話題のドーナツは、表面は多少黒っぽいが、軽い感触と甘さが控えめ。螺旋型のフレンチとミニサイズの2種類が用意されている。一日の製造は300パックが限界であり、発生するおからの一部がドーナツに変身する。直売所が国道101号線沿いにあり、販売は順調とのこと。主力商品のグリーン豆腐についても昨年10年振りにリニューアル。天然のにがりのみを使用する製品となっている。


小さくたって、やり方はある
“金型から成形まで”がキーワード


有限会社 フルヤモールド
大曲市角間川字中木内244-1
代表 古谷 武美

 「熱可塑性の樹脂であれば、なんでも成形できますよ」という代表の古谷武美さん。 (有)フルヤモールド(TEL0187-65-2477)の白い工場は、角間川の美しい田園風景の中に建っている。最初の工場は納屋だったが、みるみるうちに立派な工場になっていった。同業者が伸び悩む環境の中で、着実に発展してきた理由はどこにあるのだろうか。
 ここで生産する製品は、ゲーム機やCD−ROM部品をはじめとする各種プラスチック成形部品。
 工場内は今でこそ自動化されているが、昭和63年11月、33才の代表が脱サラで始めた頃は、中古機械が3台、6年間は工場で寝泊りしたと当時を振り返る。
 「金型が作れないと成形屋としては半人前」と、県や市の支援を受けながら設備投資と研鑚を積み、金型単体での受注を得るまでにもなった。(金型部門は平成10年7月別会社化)それにより製品の設計段階から係わることが可能となり、部品点数の削減提案等独自性を発揮することができる。そのことが次ぎの仕事にもつながるという。
 樹脂成形ですら海外に展開されるケースが多くなり脅威を感じるが、「常に前を見ないと仕事は来ない」と営業にも力を抜かない。
 仕事を楽しむ代表の姿勢にこの企業の力が隠されているようである。

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