このコーナーは、中小企業の景況が低迷する中で、新分野進出、新商品開発、ネットワークの活用などによって、積極的な経営展開を図り市場から評価を得ている企業を紹介します。

株式会社 アイワプラスチックス 伊藤建友 株式会社 株式会社 能代印刷所


ゼロエミッションを目指して
「プラスチックの再生・再資源化」


株式会社 アイワプラスチックス
仙北郡神岡町神宮寺字笹倉72番地1号
代表取締役 中屋 正紀

 プラスチックの再生処理をしている(株)アイワプラスチックス(TEL0187-72-3888)は、工場からでる廃プラスチックを溶かし、ペレット化することで再利用を可能とする材料に再生し販売している。
 プラスチックは、軽く、強く、きれいで、どんな形にも成形でき、便利で安価な反面、使用された製品の寿命が終わった時には、分解しにくく、燃やせばダイオキシンが発生しやすく、廃棄すればビスフェノールなどの可塑剤が環境ホルモンとして影響を与える等の性質が災いする。そのため、プラスチックは廃棄するのではなく、資源として再利用するものという考え方が一般的になりつつある。その潮流がこの企業を育ててきた。
 一口にプラスチックといっても、その種類は多く、それぞれの物理特性に合わせた再生方法が求められる。物理特性を損なうことなく再生する技術は全て独学。新品の材料よりも物理特性が向上している製品さえあるという。この信頼性が徐々に認められ、現在では東北一円に50社を超える取引先がある。
 今年は、困難といわれている生分解性プラスチックの再生や、再生不適材料の燃料資源化などの事業化にも目処をつけた。
 企業の環境ISO取得気運の高まりもあり、「資源を有効に生かす」この企業の活動の場は更に広がりそうである。


建築工事の低コスト化に成功
施主、施工者双方に役立つ商品を開発


伊藤建友 株式会社
本荘市川口字八幡前255番地の4
代表取締役 伊藤 佐喜男

 平成4年に高断熱パネル「Zスーパーパネル」を、また、平成9年には耐震金具「ハイテク接合金具」を開発、順調に受注を伸ばしているのが伊藤建友(株)(TEL0184-24-3360)。
 これらの商品を開発した理由を伊藤さんは「住宅の高気密・高断熱化が進む中、現場施行が増加、仕事がはかどらなくなった。何とか生産性をあげ、効率化・低コスト化を実現できないだろうかと考えたのです」と語る。
 以前は当社においても他メーカーの作る既製品を購入・使用していたが「現場を知らない人たちの開発商品が多く、不満を持っていた」、「全国に当社同様、困っている業者は多い。安くていいものは必ず世にでるし、現場を知り尽くした当社なら出せるという信念があった」のだという。
 当社のパネル、金具は会員制度を敷き販売しており、現在全国に約60社。「会員は当社の商品を高く評価し、必ず2棟目、3棟目と発注してくれますし、パネル、金具だけでなく当社の『ハイテク構造住宅システム』の評価も高く、1棟あたりの発注額もこれまでの200万円程度から1セット400万円を超える程になってきた」そうだ。
 今後は関西圏への進出、さらには全国各都道府県に1店の代理店設置が目標のこと。「県内という狭い範囲に固執せず、もう少し積極姿勢をもつべき」と語る伊藤さんに見習う点は多い。


フルカラーデジタル印刷システムを導入
身障者の雇用の場を拡大


株式会社能代印刷所
秋田県能代市字仙遊長根16-13(卸町6-1)
代表取締役社長 相澤 隆之

 DTP(ディスク・トップ・パブリッシング:コンピュータによる製版システム)の出現は、デザイン・印刷業界に一大革命をもたらしたが、今度は、作成したDTP画像を直接印刷するシステムが開発された。現在このシステムは東北には3台しかないが、そのうちの一台を導入しているのが、能代市の(株)能代印刷所だ(TEL0185-52-3223)。
 当社は主力のチラシ広告を、オフセット輪転機で印刷してきたが、オフセットの場合は印刷にかかるまでの作業が多く、小口対応が難しかった。
 そこで昨年6月におよそ7,500万円をかけて、ハイデルベルグ社のフルカラーデジタル印刷システムを導入し、これまでの納品期間を一週間から2〜3日に短縮することに成功。また、フィルムやアルミ版などの消耗品が不要なことからコストダウンにも成功し、大幅に生産性を上げることができた。
 同社は、このシステムを「身体障害者雇用納付金制度に基づく身障者処遇改善施設設置助成金」を活用して導入したもの。現在11名の身体障害者を雇用しているが、DTPと本システムにより、身体障害者でも健常者と同じように業務を果たせるようになったという。

バックナンバー集へ戻る