このコーナーは、中小企業の景況が低迷する中で、新分野進出、新商品開発、ネットワークの活用などによって、積極的な経営展開を図り市場から評価を得ている企業を紹介します。

株式会社ドラゴンドリーム 漆工芸 利山 株式会社コシヤマ


健康のふるさとは自然
食物繊維入り豆腐を開発


株式会社ドラゴンドリーム
山本郡八竜町浜田字上浜田1
TEL 0185-85-3000
代表取締役 三浦 正剛

 八竜町で地元食材を生かした商品開発をしている(株)ドラゴンドリームは、食物繊維を添加した“りんご豆腐”を開発、7月中旬から販売を開始した。
 同社は同町内の若手経営者らで平成元年6月に設立。「健康のふるさとは自然」をモットーとし、商品には添加物、着色料等はいっさい使っていない。EM(有効微生物)農法による米を使ったキリタンポや比内鶏をベースにしたスープ、にんにくの佃煮などを開発、産地直送で首都圏を中心に販路を広げている。会員制による産直がメインだが、「最近は県内外の量販店に対する販売が増えてきた」という。
 豆腐の開発は、三浦さんの父で同社会長を務める卓さんの知人である弘前市の食品研究家が、リンゴから食物繊維を抽出する独自技術を開発したことを受け、同社が二年がかりで商品化に取り組んできた。成人一人当たり一日の食物繊維の摂取不足量が4〜7gとされる厚生省の調査結果もあり、一食で食べきれる豆腐の量150gにリンゴ3個分の食物繊維5gを混合させた。さらに整腸活動を促すオリゴ糖が少量含まれており、豆腐の味にコクとまろやかさを醸し出している。モニター調査でも「便秘解消に効果あり」という意見が93%を占めた。
 「一つまわれば、また次のもの」と三浦さんは商品開発に余念がないが、あくまでも地元食材にこだわり、「より自然な、安全で美味しい本物の旬の味」を追求しつづける。


伝統工芸品、川連漆器、が
海外見本市で大好評


漆工芸 利山
雄勝郡稲川町大舘字上平城2−5
TEL 0183-42-2900
佐藤 公

 今年4月に開催されたイタリアミラノ・サローネ国際家具見本市に漆工芸利山が製作した川連漆器が出品、展示された。発端はイタリアが今ちょっとした東洋ブームで、現地でデザイナー活動している日本人が本物の漆塗りの器を紹介しようとしたこと。欧米人のライフスタイルに合った食器類(エスプレッソカップ・ソーサー、シュガーポット、サラダボール&フルーツ皿・サーバー、朝食プレート、波紋大皿・小皿、バターナイフ)をイタリア人デザイナーがデザイン。その図面を基に忠実に約4ヶ月かけ7点3セットを製作した。この見本市では、日本固有の伝統とデザイン性を兼ね備えたエキゾチックな趣き、などが評価され、今すぐ欲しいと交渉されることもあったそうだ。
 当初は、諸事情から断るつもりだったそうだが、町産業支援センターが川連漆器の知名度向上のため、全面的にバックアップ。現地との連絡窓口となってくれたことで要請に応えられたとのことである。
 日本でも、9月9日から6日間、日・伊共同企画でコラツィオーネ・ア・トーキョーが東京新宿で開催され、この展示会もデザイナー、バイヤーに対して「川連漆器」をアピールする絶好のチャンスととらえ、「今後の川連漆器全体の受注拡大につながれば」という期待がふくらむ。


バリアフリー型「木製自動ドア」開発
高齢化社会の到来を先取りした商品戦略


株式会社コシヤマ
能代市河戸川字大須賀100
TEL 0185-54-3214
代表取締役 腰山 一夫

 木都・能代において昭和15年創業の木製建具メーカー(株)コシヤマが、この度「バリアフリー型木製自動ドア」を開発。特許を出願中という秀でた技術と、他の自動ドアの約半分というコストパフォーマンスの高さで業界内外の注目を集めている。
 本商品は、ドア枠上部の鴨居に内蔵された機械部分に木製のドアを吊るし、ベルトの回転で開閉する構造だが、ドア下部にリード部材を配することで通常のドアに存在する敷鴨居部分のレール除去に成功。
 加えて、ドアの開閉方式も車椅子の人やお年寄りの出入りを考慮し、タッチスイッチ・リモコン・手動の3種類を自由に選択できるようにするなど障害者・高齢者に優しい「バリアフリー」な仕様となっている。また、本文下写真のドア1枚の自重は約10kg(高さ約2m、幅約1m)だが、本商品は約50kgまでのドア自重吊り下げに耐えることが可能であり、住宅用だけではなく公共施設等の大きな開口部にも対応できるなど用途も幅広い。
 数多くの引き合いはあるものの「今後1年位は展示会等への出展やモニタリングを繰り返し、より完成度を高めたうえで販売する方針」、「単に“良い”だけでなく“売れる”商品として世に出したい」という腰山社長。
 先に商品化した「木製サッシ」とともに同社の主力商品として期待される逸品である。

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