画期的な2製品を開発・販売

三和コンクリート工業株式会社(羽後町)

 羽後町にある三和コンクリート工業株式会社 (代表取締役 金 祺次 氏 秋田県雄勝郡羽後町大戸字水里171-2 Tel.0183-62-1141)は、下水道用立てマンホール側塊、積みブロックや各種の側溝等を生産する中堅のコンクリート製品製造業者である。同社はこのたび、二つの自社開発商品を相次いで発売した。
 一つは、県の補助金を利用して開発したもので、木材の間伐材から作り上げる土木建築用化粧型枠 WOOD CUT(ウッド カット)。 化粧型枠とは、河川改修工事や護岸工事、治山工事、ダム工事の土留めや堰堤、ビルの外壁などのコンクリート壁面に模様をつけるための型枠である。
 これまで土木建築用化粧型枠には発泡スチロールが使用されてきたが、発泡スチロールの型枠の場合裏側に合板で補強する必要がある。また、コンクリートから化粧枠を外す際に、発泡スチロールが固まったコンクリートに付着してしまい、それを剥す作業が必要だったり、剥離した発泡スチロールが工事現場に飛散し問題となっている。更に、焼却や埋め立てができないため、廃棄にコストがかかる。
 これに対してWOOD CUTは、型自体に強度を持たせたことから、補強用の合板を必要としないため工事現場の作業効率を大幅に向上させることができる。また、原料に間伐材と無公害の硬化剤を使用しているため、焼却処理や埋め立てができるので廃棄コストもほとんどかからない。更に、圧縮強度が高いため剥離性がよく、コンクリートの仕上がり面は自然石に近いものとなる。


 同社の試算によれば、発泡スチロールを化粧型枠に利用した場合、工事費が1u当たり約14,200円かかるが、WOOD CUTを使用するとそのうちの10〜15%の経費を節減できるという。また、秋田杉の間伐材を原料にすることができるので、資源の有効利用を促進することになる。
 WOOD CUTの場合、構想から製品化まで約3年を擁したが、従来品にはなかった画期的な特性は、工事現場の生産性向上や自然環境の保全などの面で大いに貢献するであろう。



二つ目の新製品は、上に水路、下に貯水槽の構造をもつDS側溝(Double Structure)だ。

これを使用すると、従来のように貯水槽を設置するための専用の土地を確保する必要がないうえ、従来の貯水槽の施工コストに比較して大幅に安く仕上げることができる。地震等がおきても漏水しない構造が特徴。
 防火用水や渇水時の補給水、冬場の消雪や流雪などに利用できることから、地価の高い都市部や積雪地域での普及を見込んでいる。
 同社では

「コンクリート生産で培った技術力を活用し、時代の要請する製品を創出し、建設工事の省力化・合理化を支援する」

を経営基本方針に掲げているが、この方針が具体的な形となったのがこれらの製品だ。金社長の独創的なアイディアと技術が盛り込まれた製品だけに、これらにかける同社の期待は大きい。

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