マルチメディアが追い風 〜たざわこ芸術村(田沢湖町)〜 |
今年、田沢湖町の「わらび座の郷」は、郷のテーマであった「舞台芸術を中心とした文化の創造や発信」に「旅や食文化の追求」を加え、「たざわこ芸術村」(〒014-11 秋田県仙北郡田沢湖町卒田字早稲田430 TEL 0187-44-3333/FAX 0187-44-3334)として新たなスタートを切った。
わらび座は「日本の民族芸能の継承とその創造的発展・普及」を目的に、1951年に作曲家の故 原太郎氏が中心となって東京で設立した楽団「海つばめ」が母体。1953年に現在地に本拠を構え、以来全国各地の民謡、民族芸能を取材・調査・舞台化し、国内外で公演を行っている。現在7つのグループが舞踊劇や民話ミュージカル、民族歌舞集や音楽アンサンブル等の多彩な作品を年間約1000ステージ公演している。
![]() わらび座が中心となって出来上がった「たざわこ芸術村」は、800人収容の常設わらび劇場を中心に、温泉、宿泊施設、料理館、森林工芸館、民族芸術研究所を揃え、心の「リフレッシュゾーン」 の創造を追求した「村」づくりを進めている。村には年間10万人のお客様と40校の修学旅行生が訪れるという。 全国から集まった250人の劇団員が、芸術・創作、教育、研究、経営、サービス、広報等の各部門に分かれて業務に携わっているが、更に地元から100名近くを雇用し、秋田県を代表する芸術と観光の村になっている。 こうした、村の活動を裏から支えているのが、村自慢のコンピュータシステムである。村の中には、約60台のパソコンが光ケーブルで結ばれ、村の経営に関わる情報は無論のこと、十数万件にのぼる顧客情報や営業情報がデータベース化され、顧客サービスの向上に有効に活用されている。 例えば、団体予約客からの電話の問い合わせや変更等の情報は、総べてデータベースに入力され、 どの部署の端末からでも見れるようにしている。「団体客の中にアレルギー反応を持つ人がいるので食事に注意して欲しい」とか「次の日は田沢湖を観光する予定」等の連絡が直ちに入力され、料理人が仕事に取り掛かる際に厨房の端末でお客様の要求が分かるのでいちいち確認する必要はない。また、接遇担当者はお客様の明日の日程が分かるので会話も弾みやすくなると言う具合である。このコンピュータシステムは、社内で作りあげたもので、高いコンピュータ技術を持っていることが分かる。 今、村が積極的に取り組んでいるのが、インターネット関連技術を活用した取扱い素材のマルチメディア化・デジタル化である。一つの公演を行うまでには舞台装置や衣装、音楽、脚本、あるいは興行先での宣伝や関係者との連絡調整など、様々な情報を作り出したり伝達したりしていく必要がある。そして、これらの情報(素材)は正に村の財産であり、公演以外の商品にすることも考えられる。例えば、映像や音楽はすぐにでも商品化することが可能である。 また、インターネットを活用することによって効率的に情報を加工・蓄積・伝達し、公演までの準備期間を秋田にいながらにして短縮させることも可能となる。 村の情報管理を担当しているデジタル・アート・ファクトリー・チーフディレクターの長瀬一男氏は、「インターネットの出現によりこれまでできなかったことがやっと出来るようになった」としており、マルチメディア時代の到来はたざわこ芸術村にとって強い追い風になっている。 |