学校教育用LANを全国展開

株式会社フォラックス教育(湯沢市)

 現在、情報化の大きな波は、学校教育の現場にも押し寄せている。平成7年度の「教育白書」によれば、文部省は平成6年度からおおむね6年間で学校教育用コンピュータの整備目標を、小学校で22台(児童2人に1台)、中学校で42台(生徒1人に1台)、普通科高等学校で42台(生徒1人に1台)と設定し、児童・生徒の「情報活用能力の育成」を図っている。また、先進的な小学校ではインターネットの活用が盛んにおこなわれている。この様に、企業社会と同じく教育現場でもコンピュータは、「当たり前」の存在となっている。この学校教育用コンピュータ市場で、湯沢市から全国へ展開し成功をおさめている企業が、株式会社フォラックス教育である。
 同社の田中社長は、もともと学校教材の販売を本業としており、コンピュータに関しては素人であった。ところが平成元年、或る高等学校から教育用コンピュータシステムの導入について相談を受けた。普通であれば「コンピュータについては、門外漢」ということで、パソコンのディーラに仕事を回すところであるが、勉強熱心な田中社長は、一からコンピュータLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)について学んだ。しかし勉強すればするほど、既存の製品ではお客様に自信をもって推奨できないことがわかった。
 そこで田中社長は、「既製品で良い製品がなければ独自で開発するしかない」と決心し、平成2年に開発メーカを模索した。ここで、株式会社フォラックス(本社:盛岡市)との運命的な出会いがあった。当時、株式会社フォラックスは創立されたばかりのベンチャー企業で、無名の存在であった。しかし田中社長は、「先方の平山社長さんと2時間くらい話しただけで、この会社に任せればお客様が望んでいる製品を開発できると確信しました」と言う。早速、田中社長はフォラックスと共同開発に着手。さまざまな試行錯誤の末、平成3年に教育LAN1号機がやっと完成し、納品の運びとなった。その後ユーザの声を汲み上げ改良を重ねた結果、「教育現場に即した製品でとても使いやすい」という評判が教師のあいだで広がり、納入学校数は順調に増加、沖縄県では50校に納入するなど全国展開に向けた確かな手応えを掴んだ。
 田中社長は、それまで本業である教育資材販売業の一部門として教育用LAN事業を展開してきたが、平成6年に株式会社フォラックス教育を設立し、本格的な全国販売に乗り出した。色々な営業活動の中で、富士通本社から製品の有用性が認められ、富士通の1次ディーラーが営業代理店になるなど販売網が拡充し、現在まで200校へ納入を果たした。また、県内においてはトップシェアーを確保している。
 この様に同社の事業規模は、着実に拡大しているが、従来の製品に満足することなく、マーケットの新たな動きにもいち早く手を打っている。現在同社は、従来の製品にインターネット接続機能を付加して、教育現場でのインターネット利用にも対応している。その他、ユーザをサポートするためアメリカのシリコンバレーにサーバを設置して、インターネットへの無料接続サービス(アクセスポイントまでの電話料はユーザ負担)等の各種サービスも提供している。
 今後同社は、「LANを制するものが教育市場を押さえる」という信念に基づき、一層ユーザインターフェースの良い商品を開発・提供し、全国制覇達成を狙う考えである。自社で工場を持たない“湯沢発”のファブレス企業・フォラックス教育、同社の一層の飛躍が楽しみだ。

株式会社 フォラックス教育
代表取締役 田中 格氏
本社:湯沢市倉内字才の神41-8
TEL 0183-73-8255 FAX 0183-73-9655
沖縄営業所:沖縄県那覇市国場899
ホームページアドレス
http://www.voraxed.com/

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