特に北澤氏は、経営課題を解決していくには、困難な状況になっても社員の心のよりどころとなる社是を作成するとともに、具体的な行動を社員に示すことが必要であると指摘している。そこで、長門社長が中心となり検討し作成したのが次の事項である。
まず、社是に「顧客第一の心」を掲げた。そして、「顧客第一の心」から出る具体的な「心」として、既に企業内に提示されている「すみませんと言う反省の心」、「はいと言う素直な心」、「私がしますと言う謙譲の心」、「ありがとうございましたと言う感謝の心」、「おかげさまでと言う奉仕の心」を採用し、再確認することにした。
また、具体的な行動内容として、下記の9項目を掲げ、直ちに行動に移す事にした。
(1)挨拶を積極的に行う
事務所内はもとより、廃棄物収集の現場においても、挨拶を励行する。なお、3言(双方で合計3つの言葉を交わす 例「おはようございます」「おはよう」「いってらっしゃい」)挨拶を目標にする。
(2)電話応対をおろそかにしない
電話で企業の実力が分かる。だからこそ、どのような場合でもおろそかにせず、お客様の身になって喜んでもらえる対応をする。
(3)クレーム処理を喜んで行う
クレームは「あなたのここが良くありません。改善すればもっと業績がよくなりますよ」とアドバイスしてくれるのだから、嫌がったり断わったりする理由はない。
(4)前向きな対応を行う
問い合せを受けた時、見積りの時、委託作業が終了した時など可能な限りこちらから再度電話をかけたり、お客様に会って対応する。時間指定など種々の注文やアフターフォローの時ももちろんであるが、このような積み重ねがいざという時物を言うことになる。
(5)関連商品を販売する
一般家庭にまでその対象を広げ、ゴミ袋など関連する商品を販売する。
(6)ステッカーを作成し秋田協同清掃をアピールする
お客様は問い合せや注文、あるいは、クレームなどをどこに連絡すれば良いのか分からないのが現状である。そこで、PRも兼ねたステッカー(電話番号や住所を記載)を活用する。
(7)連絡カードを作成しコミュニケーションを密にする
収集に行ったが見当たらない、不在である、分別で出す曜日が異なっているなどのとき連絡カードにより伝言する。
(8)新しい廃棄処理方法に挑戦する
バイオによる廃棄物の処理が実用化されている今日、いろいろな課題があるとはいえ、新しい処理方法の検討を避けて通ることはできない。むしろ、新しい処理方法を実験しお客様に提案する位でないと次の時代に生き残ることはできない。汚泥や発泡処理などを含め、新しい処理方法に挑戦する。
(9)社外人材を活用する
廃棄物処理の業界は先にも延べたようにいくつもの課題に囲まれている。また一方では、いくつかの兆しも見えてきた。それは多くの様々なチャンスがあることをも示唆している。このような機会に様々な分野の専門家の協力を得ることは賢い方法である。また、一般消費者の意見も見逃せないので、全社をあげて組織的に継続的に外部の空気が入るようにする。
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