こうした経営課題を踏まえ、当社の情報化のレベルを北澤氏は次のように評価している。
 情報化をいくつかのパターンに分けると、受注処理や廃棄物収集などに伴なう「事務処理段階の情報化」、実績や売掛の状況把握などに伴なう「管理業務段階の情報化」そして、お客様を主役にした「お客様のための情報化」に分けることができるが、当社の情報化は「事務処理段階の情報化」であるといえる。
 そして、北澤氏は対象業務を(1)新規・リピーター開拓〜契約業務、(2)廃棄物収集・処理業務、(3)新規事業開発・活動業務、(4)作業結果報告業務の4つに分けたサブ・システムごとに情報化に取り組むことが必要とし、各サブ・システムにおける問題点と改善案を次のように整理している。

●問題点●


(1) 新規、リピーター開拓〜契約業務
○受身である
 新規客、リピーターを増やすための活動は行っているが、その状況は概して受身である。
○大きな仕事と小さな仕事を区別している
 大口の注文の時は直接会って応対するが、小口の場合は電話だけで済ますなど区別して対応している傾向が見られる。
○顧客台帳がない
 お客様に関するデータは断片的に捉えているだけで、利用できる状態にはなっていない。
○処理システムが複雑
 作業単位でシステムが定着しているので処理の流れに統一性がない。また、使用する帳票もこの作業の場合はいいが、あの作業の場合は不備であるというように、互換性のないものが目につく。
○コンピュータが活用されていない
 多くの帳票や管理資料が作られているが、その多くは手作り(手書き、ワープロ)であるため、時間と手間がかかっている。
(2)廃棄物収集・処理業務
○見積りをする時としない時がある
 受注の際、見積りをする時としない時があるなど、ルールがあいまいである。
○従来のパターンから脱皮していない
「廃棄物処理業とはこういうことだ」というイメージから脱皮していない。
○使用帳票に統一性がない
定期的なものと臨時的なものとで帳票が異なったり、使わなかったりで統一性がない。マニフェストの作成が手作業で行われている。
(3)新規事業開発・活動業務
○組織的、継続的に行っていない
 既に行ってはいるが本流になっていないものがある。バイオをはじめ実用化されたものがいくつかあるが、それらについて組織的に研究開発が行われていない。
○開拓のための資料が少ない
 新規事業を行うための資料(データ、情報)が作られていない。
(4)作業結果報告業務
○管理資料が多様である
 全社的な見地から「当社にとって必要な情報は何と何なのか」が明確でないため、その時々の求めに応じて作成されたり、いつの間にか使われなくなっている。
○報告書を手作業で作っている
 上記帳票を手作業で作成することが多い。
○コンピュータが活用されていない
 オフコン用のソフトがなかったり、一部不備のため積極的に活用されていない。 

●改善案●


(1)新規、リピーター開拓〜契約業務
○小さな仕事でも応対する
 小口の注文の時でも可能な限り応対し、お客様に「またあそこに注文しよう」と思わせる。
○顧客台帳を活用する
 仕事に結びつかなかった場合も含め、お客様に関するデータを収集し、活用できるようにする。
○システムの簡素化・使用帳票の見直し
 全社的な見地からシステムおよび帳票を見直し、統一できるところは統一するなどして、効率的に各々の処理ができるようにする。
○コンピュータを活用する
 コンピュータを含めた情報機器の活用を検討し、活用すべきところは積極的に活用する。
(2)廃棄物収集・処理業務
○見積りの励行
 お客様に信頼感を与えるために、可能な限り見積りを行う。
○企業・家庭に入り込む
○処理システムを簡素化し使用帳票を見直す
 基本的に同一のシステム、同一の帳票を使うことにする。どうしても必要な場合は例外処理と位置付けて扱うこととする。
○コンピュータを活用する
 コンピュータを利用した方が良いと判断された時は積極的に活用する。
(3)新規事業開発・活動業務
○新規事業開発システムの構築
 既に部分的に行われている事業や新規事業をスムーズに行うためのしくみを作り、全社的に認知されたものとして取り組めるようにする。
○家庭への進出
 企業だけでなく、家庭も市場と認識し、積極的にアイデアを出し(例ゴミ袋、新しい廃棄物処理機器の販売など)顧客を増やす。
(4)作業結果報告業務
○使用帳票を見直す
 「当社にとって何と何の資料が必要なのか」を整理し、画面出力で済むものは画面で、必要な資料のみプリントアウトする。
○処理システムを簡素化する
 基本的に同一のシステム、同一の帳票を使い効率的な分かりやすいシステムにする。
○コンピュータを活用する
 管理帳票の作成は原則としてコンピュータで作成する。
そのために原始データはコンピュータに入力する。既存ソフト(処理業者用のマニフェスト伝票処理ソフト)も活用する。

 また、北澤氏は各サブ・システムについて、現在の事務処理を分析した上で、コンピュータを導入した場合の新たな事務処理システムを提案している。

新規リピータ〜契約までの改善事務処理フロー図
(新しく決定した処理システム)

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